団塊ひとりぼっち
 |
団塊ひとりぼっち
人気ランキング : 130227位
定価 : ¥ 935
販売元 : 文藝春秋
発売日 : 2006-03 |
価格:¥ 935
納期:通常2日間以内に発送 |
 |
著者も楽しんで書いている |
私は1948年生まれのバリバリの団塊世代なんですが、かなりマイ・ペースでやってきたせいなのかどうなのか、自分が「団塊世代の一人」と強烈に意識した(させられた)のは競争相手が多いことによる「大学受験」のシンドサぐらいですね。ま、高校の先生や受験雑誌などから、さんざん「煽られた」ものです。もちろん小学校のとき、二部授業だとか、そんなのも経験してますが。
この本、面白かったです。著者も「はいはい、団塊ものですね、わかりました」という感じで原稿依頼に応じて、サービス精神たっぷりに、淡々と綴っています。
世代論というのは「今日の星座別占い」みたいなもので、ちょっとした話のネタにしかならないというのが私の実感ですが、そんなこと、著者も充分わかっていて、それでも結構、楽しんで書いているようで、それが心地よかったですね。
 |
役に立たない。そこがいい |
普通、新書というのは「役に立つ」という事になっている。「アユの生態」だの、「さお竹やはなぜ潰れないのか」とか「英語がうまくなる」とか、だ。ところが、さすがブンケンさん。そんな新書という形式の約束事を一切無視。つまり、この本を読んんだ団塊の世代は「ひとりぼっち」や心の空白を解決できるわけではない。ただし、心から共感するであろう。面白くて役に立たない本。そこがいい。
 |
俺たちに出口はない |
1946年から1950年の間に生まれたベービーブーマーのことを、日本では周知の通り団塊の世代と呼ぶ(名付け親は元通産官僚の堺谷太一)。戦後民主主義の一期生として、また学生運動の主役として、さらには消費社会の先導者として、何かとこの世代はマスコミによって取りざたされてきた。そして今、大量退職の時代を迎え、今度は2007年問題なるものがまことしやかにささやかれている。
本書は、そういう世代論を斜めに見ながら行なわれた1947年生まれの著者による一席の漫談である。団塊の語源的探求があるかと思えば、親世代にとっての戦争という重くなりそうなテーマを見事に語り、あるいは当時の大学進学率を引用していわゆる全共闘神話をやんわり解体してみせる。セクシャリティは大きな問題なので、第4章・第5章の二章を当てて「探求」がなされている。ここで行き着いた結論の脱力ぶりも味わい深い。
ところで、最近評判の『ウェブ進化論』の著者(1960年生まれ)は、これからの身の処し方について「自分より年上の人間とつきあう時間を極力減らし、1970年以降に生まれた若い人と過ごす時間を積極的につくることで次代の萌芽を考えて生きたい」と述べている。それを是とするなら、本書の団塊漫談におつきあいすることなど、百害あって一利なしだろう。しかし、評者(1963年生まれ)としては1970年以降生まれよりは、こういう団塊(の良質部分?)についていってみたい。「燃料としての記憶」なんてなかなかよいキーワードではありませんか。
関川夏央や呉智英の読者は、バックステージものとして楽しむこともできます。